このサイトの第1クラスタは、「休職は法律の制度ではなく、会社が置くもの」という話から始まりました。
育休は、その正反対から始まります。育児休業は、法律の制度です。取れるかどうかを会社が決めるのではなく、法律が労働者の権利として決めています。
会社は、申出を拒めない
育児・介護休業法6条1項。短い条文です。
事業主は、労働者からの育児休業申出があったときは、当該育児休業申出を拒むことができない。
— 育児・介護休業法 第6条第1項
「うちには育休の定めが無い」「前例が無い」。どちらも、断る理由にはなりません。例外は、労使協定で対象外と決められた場合(勤続1年未満など・同項ただし書)だけです。
対象も広い。5条1項の主語は「労働者」で、性別の限定はありません。父親も母親も取れます。期間を定めて雇われている場合は、子が1歳6か月に達する日までに労働契約が満了することが明らかでないこと、という条件がつきます(5条1項ただし書)。
病気やこころの不調による休職
会社の就業規則の制度
制度が無い会社もある。期間も会社が決める
育児休業
育児・介護休業法の制度
会社は申出を拒めない。保険料の免除もある
同じ「休み」でも、土台がまるで違います。第1クラスタ(休職と復職)と読み比べると輪郭がつかめます。
流れは4段階
- 1
会社に申し出る
遅くとも開始希望日の1か月前
1か月を切ると、会社が開始日を指定できます(6条3項)。書式は会社の様式によるので、担当窓口に聞きます。
- 2
休業開始
この日から、社会保険料の免除や給付金の対象期間が動きはじめます。
- 3
育児休業給付金の申請
原則として会社(事業主)を経由してハローワークへ。初回の入金までは時間がかかる構造なので、後の記事でくわしく追います。
- 4
復職(または期間の延長)
原則は子が1歳になるまで。保育所に入れないなどの場合の延長の仕組みがあります。
言い出しにくさへの、法律の答え
申出をためらわせるものに対して、法律の側には答えが用意してあります。10条です。
事業主は、労働者が育児休業申出等をし、若しくは育児休業をしたこと(中略)を理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
— 育児・介護休業法 第10条
もちろん、条文があることと職場の空気は別の問題です。実際にどう伝えて、どんな反応だったか。それは体験談に一人称で書きました。制度の話はここまでのとおりですが、申出の「場面」のほうは、あちらが参考になるはずです。
このクラスタで分かること
このあとの記事で、申出の期限と延長、給付金の額と入金の時期、免除される支払いと止まらない支払い、そして復職までを順に追います。
聞き取りでいちばん強く残った言葉があります。「支払いと入金のタイミングと額が、先に全部わかっていれば、生活の設計がしやすかった」。このクラスタの目標は、その一覧表を作ることです。