育休の期間まわりは、日付の話が4つ重なっています。いつまでに申し出るか。いつまで休めるか。出生直後の別枠はどうなっているか。どんなときに延ばせるか。ひとつずつ、条文で確かめていきます。

期限は、実のところ「1か月前」

法律は「1か月前までに申し出よ」とは書いていません。書いてあるのは、こうです。

事業主は、労働者からの育児休業申出があった場合において、当該育児休業申出に係る育児休業開始予定日とされた日が当該育児休業申出があった日の翌日から起算して一月(中略・1歳以降の延長の申出にあっては二週間)を経過する日(中略)前の日であるときは、(中略)当該育児休業開始予定日とされた日から当該一月等経過日までの間のいずれかの日を当該育児休業開始予定日として指定することができる。

— 育児・介護休業法 第6条第3項

1か月を切って申し出ると、開始日を会社が指定できるようになる。裏返せば、希望の日から始めたいなら実質的な締切は1か月前、ということです。1歳以降の延長なら2週間前。

申出のタイミングと、何が起きるか

開始希望日までの残り日数は

  • 1か月以上ある

    希望日から開始できる

  • 1か月を切っている

    会社が開始日を指定できる

    取れなくなるわけではないが、希望日にならない可能性がある

  • 延長の申出(1歳以降)

    期限は2週間前

もっとも、実際の申出は法律の締切よりずっと前に、口頭の相談から始まることが多いはずです。体験談では、11月開始の育休を6月には上司に伝えています。書類の締切と、職場と調整する時間。このふたつは別物として見ておくのが現実的です。

原則は1歳まで。分けるなら2回まで

労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。

— 育児・介護休業法 第5条第1項

そして5条2項。1歳までの期間に2回の育児休業をした場合、特別の事情がないかぎり、それ以上の申出はできません。分割は2回まで、が原則です。

似た決まりが雇用保険の側にもあります。同じ子について3回以上の育児休業をした場合、3回目からは育児休業給付金が出ません(雇用保険法61条の7第2項)。休業の回数の決まりと、給付の回数の決まりが、別々にある。ここは知っておいて損のないところです。

出生後8週間には、別枠がある — 出生時育児休業

ここまでは「1歳までの育児休業」の話でした。子が生まれた直後には、それとは別の枠がもう一つ置かれています。出生時育児休業、いわゆる産後パパ育休です。

労働者は、その養育する子について、その事業主に申し出ることにより、出生時育児休業(中略、子の出生の日から起算して八週間を経過する日の翌日まで(中略)の期間内に四週間以内の期間を定めてする休業をいう。)をすることができる。

— 育児・介護休業法 第9条の2第1項

枠は2つの数字でできています。いつまでの期間かが出生後8週間。その中で何日取れるかが4週間以内。出産が予定日からずれた場合は、早く生まれたら出生の日から、遅く生まれたら出産予定日から数え始める形で、8週間の窓がずれます。

有期雇用の人にも条件つきで開かれています。同項ただし書によれば、8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに労働契約が満了することが明らかでない人であれば申し出ることができます。

そして期限。1歳までの育児休業が1か月前なのに対し、こちらは2週間前です。

事業主は、労働者からの出生時育児休業申出があった場合において、当該出生時育児休業開始予定日とされた日が当該出生時育児休業申出があった日の翌日から起算して二週間を経過する日(中略)前の日であるときは、(中略)いずれかの日を当該出生時育児休業開始予定日として指定することができる。

— 育児・介護休業法 第9条の3第3項

つくりは6条3項とまったく同じです。過ぎても取れなくなるわけではなく、開始日を会社が指定できるようになる。会社が拒めない点も同じで、9条の3第1項が「事業主は、労働者からの出生時育児休業申出があったときは、当該出生時育児休業申出を拒むことができない」と定めています。

分割は、この枠の中で2回まで(9条の2第2項1号)。1歳までの育児休業の2回とは別に数えます。

2つの枠は、別々に数える
  • 出生時育児休業(産後パパ育休)

    出生後8週間の期間内に、4週間以内。申出は2週間前。分割2回

    育児・介護休業法9条の2・9条の3

  • 1歳までの育児休業

    1歳に達する日まで。申出は1か月前。分割2回

    同5条・6条

出生時育児休業の細かな取扱い(労使協定がある場合の期限や、休業中の就業)は運用が関わります。自分の日程での当てはめは勤務先と都道府県労働局へ。

この枠は、お金の側とも噛み合っています。育児休業給付金の記事で触れた出生後休業支援給付金は、対象期間内の休業が通算14日以上あることを要件のひとつにしていて(雇用保険法61条の10第1項2号)、その対象期間は産後休業を取らない側で出生後8週間。つまり、この8週間の枠で14日以上休むことが、13%の上乗せに届くかどうかの分かれ目になります。

延長は「1歳 → 1歳6か月 → 2歳」の2段階

1歳を過ぎても休業を続けられる場合が、5条3項と4項にあります。つくりは2段とも同じです。

  1. 1

    1歳 → 1歳6か月(5条3項)

    子の1歳到達日に労働者または配偶者が育児休業をしていること。雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当すること。など。

  2. 2

    1歳6か月 → 2歳(5条4項)

    1歳6か月到達日を基準に、同じ構造の要件が並びます。

「厚生労働省令で定める場合」の代表例としてよく挙がるのは、保育所に入れないケースです。ただ、該当するかの判定と必要書類は運用側の話になるので、ハローワークか都道府県労働局で確かめてください。ここで持ち帰るのは、延長は2段階で、それぞれに要件と締切(2週間前)がある——その骨組みだけで十分です。

終わりの決まりも、条文にある

育休がいつ終わるかは9条です。予定日どおりの終了のほか、子を養育しないこととなった事由が生じたとき、子が1歳(延長中はそれぞれの上限)に達したとき、産前産後休業や新たな育児休業が始まったときに終わります(9条2項)。

次は、この期間に入ってくるお金の話。育児休業給付金の計算式と、「思ったより少ない」と感じる理由を、条文からほどいていきます。