休職を考えるとき、多くの人が最初に気にするのは「会社にどこまで関わられるのか」でしょう。

ここには、制度としてはっきり決まっていることと、会社ごとに違って誰にも断定できないことが混ざっています。混ざったまま調べると、不安だけが積み上がる。だから、分けます。

会社が必ず関わる場面は、3つ

「会社を通さずに済ませたい」と思っても、法令のほうが会社の関与を前提に組まれています。具体的にはこの3つです。

制度が会社の関与を前提にしている箇所
  1. 1

    傷病手当金の申請

    支給の要件の1つが「休業した期間について給与の支払いがないこと」。給与が出ていないという事実を証明できるのは、勤務先だけです。

  2. 2

    社会保険料の払い方の取り決め

    健康保険法167条の控除は「報酬を支払う場合においては」できるもの。給与が止まると天引きができず、会社との取り決めが要ります。

  3. 3

    住民税の特別徴収の停止

    給与から引けなくなったことを、会社が市区町村に届け出る仕組みになっています。

どれも根拠は法令か保険者の要件にあります。会社の裁量ではなく、仕組みとしてそうなっています。

3つ目の根拠は地方税法です。

前項の場合においては、特別徴収義務者は、総務省令で定めるところにより、給与の支払を受けないこととなつた納税義務者の氏名、その者に係る給与所得に係る特別徴収税額のうち既に徴収した月割額の合計額その他必要な事項を記載した届出書を(中略)市町村の長に提出しなければならない。

— 地方税法 第321条の5第3項

健康保険法197条にも、保険者が事業主に報告をさせたり文書を出させたりできる定めがあります。会社を経由しない抜け道は、制度の側に用意されていない。まずここが出発点です。

断定できないこと

ここから先は、会社の運用と保険者の様式で変わります。

  • どの書類が、誰の手を通るのか
  • 傷病名が、どこまで共有されるのか
  • 休職の事実が、社内のどの範囲まで伝わるのか

これらを「こうなります」と言い切っているページも見かけますが、会社ごとに違う以上、一律には決まりません。このサイトも断定しません。気になるなら、聞く先はふたつです。

何を、どこに聞くか
  • 書類が誰を経由するのか/記入欄に何を書くのか

    加入している健康保険の保険者

    協会けんぽ、または勤務先の健康保険組合

  • 社内で誰が扱うのか/どこまで共有されるのか

    勤務先の担当窓口(人事・総務)

  • 住民税の残りをどう納めるのか

    勤務先と、お住まいの市区町村

「知られるかどうか」より、経路を知る

不安の正体は、たいてい「何が起きるか分からないこと」です。制度で決まっている部分(上の3つ)を先に押さえてしまえば、残りは「うちの会社ではどうか」という具体的な質問に変わります。漠然とした不安より、具体的な質問のほうがずっと扱いやすい。

何度もやり取りするのはしんどいので、最初の連絡でまとめて聞いておくと、回数が減ります。

  1. 1

    休職の申し出は、誰に、どういう方法で行うのか

    書面が必要か、メールでよいか。

  2. 2

    傷病手当金の申請書は、どの順番で回すのか

    本人が先か、会社が先か。会社の記入にどれくらいかかるか。

  3. 3

    社会保険料は、いつから、いくらを、どう払うのか

    立替か振込か。振込なら期日と方法。

  4. 4

    住民税は、どう納めることになるのか

    納付書が自宅に届くのか、会社経由か。

この4つの答えがそろえば、休職中に会社とやり取りする用件はほぼ出そろいます。あとは、回復に必要な時間を確保することに集中してかまいません。