「休職は何日まで取れるのか」。そう検索すると、日数を言い切る記事がいくつも出てきます。
けれど、労働基準法をどれだけめくっても「休職」という言葉は出てきません。休職を置くかどうかも、何日までにするかも、決めているのは法律ではなく、あなたの会社です。
いっぽうで、休んでいるあいだのお金——傷病手当金は、法律が決めています。
会社が決めることと、法律が決めること。この線を最初に引いておかないと、会社に聞くべきことと健康保険に聞くべきことが混ざって、調べものが迷子になります。
「休職」という制度は、あるとは限らない
労働基準法89条には、就業規則に必ず書くべきことが並んでいます。始業と終業の時刻。賃金の決め方と払い方。退職に関すること。読んでいくと気づきますが、休職はそこにありません。
休職が顔を出すのは、条文のいちばん最後です。
十 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項
— 労働基準法 第89条
「定めをする場合においては」。つまり、置いた会社は就業規則に書かなければならない。でも、置くかどうかはそもそも会社の判断だ、ということです。半年の会社もあれば、三年の会社もあるのはこのためです。
休職できるかどうか
会社の就業規則
制度が無い会社もある
何日まで休めるか
会社の就業規則
勤続年数で変わることが多い
期間が終わったらどうなるか
会社の就業規則
休んでいる間のお金
健康保険法(傷病手当金)
会社の制度とは別に定められている
支給される期間
健康保険法(通算1年6月)
この2つは窓口も別です。休職の条件は勤務先へ、給付の条件は加入している健康保険の保険者へ。
だから最初に開くのは、就業規則の3か所
体調のことで頭がいっぱいのときに、規則を頭から読むのはつらい。見る場所を3つに絞ります。
- 1
休職の要件
どういう状態なら休職できるのか。診断書は要るのか。誰に申し出るのか。
- 2
休職できる期間
勤続年数ごとの表になっていることが多い箇所です。
- 3
期間が満了したときの扱い
復職できなかった場合にどうなるか。読むのは気が重い箇所ですが、先に知っておくほど、後で慌てずに済みます。
就業規則は、従業員がいつでも見られるようにしておくことが会社に義務づけられています。手元になければ、人事に頼めば見られます。
お金のほうは、法律が決めている
休んでいるあいだの生活費にあたるのが、健康保険の傷病手当金です。こちらは会社ごとではありません。健康保険法99条に、条件も計算式も書いてあります。
被保険者(中略)が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して三日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金を支給する。
— 健康保険法 第99条第1項
「三日を経過した日から」。これが、よく耳にする待期3日間の正体です。いくら出るのか、いつまで続くのかは、主幹の記事でくわしく追いかけます。
手続きの順番
- 1
受診する
休むかどうか、どれくらい休むかは医師の判断です。このサイトでは扱いません。
- 2
会社に申し出る
就業規則の定めに従う
誰に、どうやって申し出るかは会社ごとに違います。診断書が要るかもここで確認します。
- 3
休職が始まる
開始日がいつかは、あとで傷病手当金の待期の数え方に効いてきます。
- 4
傷病手当金を申請する
申請書には医師の記入欄と、会社の証明欄があります。休んだ期間が過ぎてからの申請が基本です。
このサイトが扱わないこと
休むべきかどうか。どんな治療をするか。それは主治医と産業医に相談する領域で、このサイトは踏み込みません。
ここで扱うのは、休むと決めたあとに待っているお金と書類の話だけです。会社の規則で決まること。健康保険法で決まること。そして、休んでいても止まらない住民税や社会保険料のこと。順番に見ていけば、必要な手続きは数えられるほどしかありません。